建築業のノウハウを生かし、もともと持っていた遊休地にハウスを建て、作付けを始めたのは視察の1年後のことでした。アニス農法は微生物を利用した培養土を使い、コンピューター制御によりハウス内の温度・湿度・水の調整を管理することができるため、農業経験が豊富でなくても効率の良い生産が可能になります。とはいえ、有機農業に取り組む地域は多く、差別化が課題。そこで選んだのが、あまり市場で流通していなかった高品質のトマトです。完熟し糖度が高いトマトは高級フルーツのような付加価値が期待でき、価格を自分で決定できるところが魅力でした。
山本さんの発想力と判断力のもとにさまざまな取り組みが始められます。完熟トマトの良さを伝える『普通のトマトは水に浮くが、密度が高いトマトは水に沈む』というキャッチフレーズが話題となり、生産物を無駄なく使用するためにジュースやジャムなどさまざまな加工品も生まれました。そして、野菜スイーツ専門パティシエ柿沢安耶氏との出会いが「窪畑ファーム」の名を全国に広めることになります。スイーツの素材としてテレビや雑誌にも取り上げられたことで人気が高まり、農業参入初年度から成果をあげることに成功したのです。