今回、独立賛成派が住民投票の直前になって支持が伸びず、敗れたのは、英政府によって(1)独立しても欧州連合(EU)に残れるのかは不透明(2)独立したら通貨ポンドは使わせない-などと指摘され、住民の不安が顕在化したためだ。年金や税金、小売価格の行方など自分たちの現実生活に立ち戻った結果、賛成に投じようとした気持ちを変えざるを得なかったのであり、英政府に対する積年の不平、不満が消えたわけではない。
欧州統合のジレンマ
住民投票の余波は、スコットランドと同様に「連合王国」(英国)を構成してきたウェールズにもおよび、「われわれも平等の権利を持っているはずだ」として自治権の拡大を求める声をあげ始めた。こうした分離独立運動の高まりの背景には、国家の代わりに欧州連合(EU)からの庇護が得られるとの期待もあり、英国の事例は高度に進んだ欧州統合のジレンマも映し出したといえる。
EU加盟国なら経済的には約5億人という自由化された巨大市場が確保される。国家の安全保障はEUに守られ、北大西洋条約機構(NATO)に加盟すれば、米国を含む集団防衛の傘に入る。加盟国は統合の進展に伴い主権をEUに移譲してきたが、小国ほどそのメリットは大きいわけだ。