日本から遠く離れた地中海で約100年も前に、平和を願いながら第一次世界大戦を戦った日本人たちがいたことはあまり知られていない。第一次大戦開戦から1世紀に当たるこの夏、彼らの足跡をたどり、「地中海のへそ」と呼ばれる南欧の小さな島国マルタを訪ねた。
マルタの首都バレッタは、高い城壁に囲まれた海に浮かぶ要塞だった。南国特有の強い日差しが肌を焼き、透き通るような青い空と海が広がる。港には、ヨットや豪華客船が停泊していた。だが、100年前には、その平和な港も、軍の艦船でいっぱいだった。
ちょうど100年前に参戦した英国は、ドイツとの戦況が悪化する中、同盟関係を結んでいた日本に地中海への艦隊派遣を要請。日本は1917年に駆逐艦8隻を派遣し、翌18年の終戦までに計788隻の連合国側の輸送船や病院船を護送し兵員70万人を輸送した。
さらに、敵の潜水艦Uボートと35回も交戦し、Uボートに沈められた船からは7000人以上を救出。駆逐艦「榊」は魚雷攻撃で大破し、艦長ら59人が死亡するなどの犠牲者も出した。