こうした流れは、エボラ出血熱の感染拡大の深刻さに国際社会がようやく危機感を持った証拠だろう。世界保健機関(WHO)によると、昨年12月に最初の感染者とみられるギニアの2歳男児が死亡してから、疑い例を含む感染者はこれまでに5500人を超え、うち2600人以上が死亡した。1976年にエボラ出血熱が確認されて以来、感染症の集団発生としては過去最悪の規模にまで事態は深刻化している。
「エボラ出血熱の対策強化は遅いが、歓迎」とする9月16日付米紙ワシントン・ポスト(ウェブ版)社説は、封じ込めに乗り出した米政権の政策転換を「対策が十分かはわからないが、米国は少なくとも、世界でなくてはならない国のように動き始めた」として評価した。同時に「安全保障上の脅威は邪悪な国家や集団だけでなく、動物を由来とする感染症にもある」として、「エボラ出血熱への対応が遅れたことについて再発を繰り返さないように深刻に反省すべきだ」と警鐘を鳴らす。