いまだ把握できない規模
国際社会は過去、数多の感染症を経験し封じ込めてきた。それなのに、なぜエボラ出血熱の感染拡大に歯止めがかからないのか。
冒頭のWSJの論評は、致死的な疾病への対応は早期発見と脅威規模の正確な把握が重要だが、今回は集団発生の本当の規模をいまだに把握できていないことを問題視する。また、生物兵器テロや珍しい疾病用の新薬開発への金銭的なインセンティブがないことをあげる。さらに、薬や医療機材、人材の不足をあげ、「WHOの対応の失敗が新たに示すのは、この組織は救援機関というよりも政治的な政策決定機関ということだ」と批判する。
ただ、こうした不足点は、エボラ出血熱への対応に限らず、今後、いつ発生するかわからない不測の事態に国際社会が備えておく必要があるといえる。
感染者50万人の可能性も
一方で、エボラ出血熱の感染拡大は、長年のリベリア内戦による混乱を経て、成長への道筋をゆっくり歩み始めた西アフリカの経済成長に打撃を与えそうだ。