米国内で初めてエボラ出血熱患者が確認され、衝撃が広がっている。患者は西アフリカのリベリア国籍の42歳の男性で、訪米する直前に感染者を病院に搬送したという。しかも、男性が最初に受診したテキサス州ダラスの病院はリベリアからの渡航を伝えられたにもかかわらず、抗生物質を投与しただけで帰宅させていた。男性は米国内で子供5人を含む少なくとも18人と接触。米疾病対策センター(CDC)は、接触者を監視下に置き、国内での感染拡大阻止に全力を上げている。今回の事態は、世界各地へのエボラ熱の飛び火を防ぐことがいかに困難かを改めて浮き彫りにした。
リベリアで搬送手伝い
米メディアの報道によると、男性は米国に住む家族に会うため9月19日にリベリアの首都モンロビアの空港を出発。ベルギーのブリュッセルからワシントンを経て、20日にダラスに到着した。24日に発熱や腹痛、嘔吐(おうと)の症状が表れ、26日にテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院で診察を受けた。この際、看護師に渡航歴を伝えたが、病院側はエボラ熱を疑わず検査や入院などの措置を取らなかった。28日になって症状が悪化し同じ病院に搬送され、30日に感染が確認された。隔離病棟に入院し治療を受けているが、病状は重篤という。病院側は「渡航歴の情報が共有できていなかった」などと釈明した。