北の超大物の「電撃訪韓」を韓国メディアはいずれもトップニュースで報じ、朴大統領(62)との会談や金第1書記の親書持参の可能性にまで触れ、南北関係改善への期待感を高めた。
首相とは面談
しかし、そもそも南北会談により事態を打開したかったのは北朝鮮の側だったはずだ。中国とのパイプ役を果たしていた張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑以来、経済的な後ろ盾だった中国との関係は険悪化。国際的に孤立する中で対南接触を図り、韓国から支援を引き出して経済苦境を一気に打破したいのが本音だったためだ。
アジア大会をめぐっても北朝鮮は当初、韓国世論の懐柔を狙って大規模応援団の派遣を韓国側に提案。ただ、韓国側と折り合いがつかず実現できなかった経緯がある。
その後はアジア大会期間中も朴大統領を批判する声明を次々に出して対決姿勢をあおってきたが、3日に仁川アジア大会に派遣している選手団を通じ、4日夜の閉会式出席のため黄氏ら11人の代表団を送ると通知。大会を成功裏に終えたい韓国の足元を見透かす形で、代表団を韓国側に送り込むことに成功した。