チラシに注意の文言
「今思えば、僕は2つのサインを見逃した。あのとき気づくべきだった」
津野さんが当時携えていたカメラには火山灰がこびりついていた。悔しそうに続ける。「霧が晴れたのは噴火直前に山が温まり霧を消したのではないか。臭いにも注意すべきだった」
御嶽山は35年前の1979年にも噴火している。死者こそ出なかったが、大量の火山灰被害が出た。翌年には日帰り登山が、さらにその翌年には山小屋での宿泊も再開した。噴火後、火山に登山する際の注意を呼びかけるチラシが登山者に配られた。臭気への注意を促す文言もあったという。
いつしかその教訓は、風化していたかもしれない。津野さんは「僕自身を含め危険な山という認識は薄れていた。今後、この山とどう関わっていくのか見つめ直すためにも、僕は今回の体験を語り継いでいかなければならない」と話した。