この日の捜索も困難を極めた。山頂の冷え込みは増し、山小屋には長さ50センチほどのつららが並んだ。台風18号の影響もみられ、灰に探索棒を刺すと、水が流れ出して辺りは泥状に。膝上まで灰に埋まって足を取られる隊員もいた。灰が流されてむき出しになった岩が崩れて転がり落ちていくこともあった。それでも3人を麓へと届けた。
新たな作戦展開
捜索隊はこの日、新たな作戦を展開。山頂全面で隊員は一列に並んで一斉に歩を進め、金属探知機や探索棒を使い、くまなく調べる手法を初めて取り入れた。
捜索漏れ範囲が生じないように衛星利用測位システム(GPS)や距離計も初投入。突然の噴石から身を守るためのジュラルミンの楯約220枚も山頂に運ばれた。一度に約30人を山頂まで運べる大型輸送ヘリ「CH47」も、ぬかるんだ灰にタイヤが沈み込まないように特殊な板を履かせるなど工夫が施された。
陸上自衛隊第12施設隊長の平位一郎2佐(47)は「雨で悔しい思いをしてきた。厳しい捜索も強いられるが、一歩でも先に進め、全員を家族の元に帰したい」と話していた。