公的な国際文化交流機関の先例には、英国のブリティッシュ・カウンシルなどがある。孔子学院がこれらと異なるのは、独立運営ではなく、現地の大学と提携して開設している点だ。教材や中国語を教える中国人教員は、中国側が採算を度外視して提供する。このため、現地の大学側にとっては低予算で、中国語を学びたい学生らのニーズに応えられるというメリットがある。
節目の10周年を迎え、9月から10月にかけて、各地の孔子学院では記念行事が催された。「孔子学院の日」の9月27日には、中国の習近平国家主席(61)が「孔子学院は中国のものであり、世界のものでもある。中国政府と人民はこれまで同様、孔子学院の発展をサポートする」と祝辞を寄せた。
敏感なテーマは排除
そんな最中の9月下旬、米国で2つの大学が孔子学院に相次いで「NO」を突き付けた。シカゴ大は5年間の契約更新交渉の打ち切りを決定。続けて、ペンシルベニア州立大も提携の打ち切りを発表した。州立大は声明で「われわれのいくつかの目標が、漢弁のそれらと合致しなかった」と説明。提携打ち切り理由の詳細は明らかにしなかった。