だが、10月2日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、「大学当局は、大学の教授らが提案した環境や科学、政治に関する研究プロジェクトを漢弁側が拒絶するのにいらだっていた」とするペンシルベニア州立大の孔子学院の旧責任者の証言を伝え、提携打ち切りの背景事情を示唆した。
さらに、米国の大学教授らの指摘として、「孔子学院は、台湾やチベット問題、1989年の天安門広場での民主化運動の弾圧といった、中国共産党が政治的に敏感だと考えるテーマをカリキュラムから排除する」とも報じた。両大学とも、授業内容や運営方針をめぐる対立があったとみられる。
最近もある“事件”が起きている。今年7月、ポルトガルで開かれた中国研究者らの学会。現地の孔子学院も運営にかかわったこの学会で漢弁のトップ、許琳氏(60)は、資料冊子に台湾の組織に関する紹介文があったことを問題視し、該当ページを破った上で参加者に配布させた。孔子学院が中国政府の価値観を押しつける象徴的な一幕といえ、両大学の方針決定に影響を与えた可能性がある。