【国際情勢分析】
「私たちはウォール・ローゼのエレンとミカサかもしれないね」。選挙制度の民主化を求め、香港のアドミラリティ(金鐘)で抗議を続けていた女子大生の劉さん(21)は、こう言って笑った。日本の新聞記者だと聞いて、劉さんは香港でも人気の日本アニメ「進撃の巨人」のストーリーに自分たちの姿を重ねてみせたのだ。
「雨傘革命」続く街頭占拠
このアニメは、城壁(ウォール)に囲まれた小さな都市に暮らす人類が、壁の外から襲撃してくる恐ろしい「巨人」と戦って生存空間を守る内容。エレンとミカサは主人公の男女だ。
主権こそ1997年7月に英国から中国に返還されたが、返還後も50年間保証された「一国二制度」の国際公約の下で、香港は民主社会を謳歌(おうか)してきた。
だが、経済力の膨張とともに存在感や発言力を増した中国が、「巨人」となって壁の中の民主社会を襲ってきたと劉さんらの目には映り、エレンやミカサに共感を覚えるのだという。