【本の話をしよう】
私は読み狂人。朝から晩まで読んで読んで読みまくりたる挙げ句の果てに黄泉の兇刃に倒れたる者。そんな読み狂人だって子供の頃は普通の子供だった。毎日、ハンケチとちり紙を持ち、ランドセルを背負って元気よく小学校に参り、校訓であるところの、「元気で仲良く」を実践していた。
その頃、テレビジョンでは、「おはよう!こどもショー」というプログラムを放映していて、ロバ君、というロバを戯画化したキャラクターが人気を博し、読み狂人も他の普通の子供と同じく、これに狂熱していた。そしてその頃、ピンキーとキラーズ、という人々が唱う、「恋の季節」という楽曲が流行し、老いも若きもみな、この歌に狂熱していた。勿論、読み狂人もこれに狂熱して、朝な夕な、わーすれられないのー、あーのひとがすきよー、など唱ってまるで莫迦(ばか)のようであった。
といってなにが言いたいのかというと、読み狂人も生まれつきの読み狂人ではなく、昔は普通の前途ある少年だったのだが中途で心の駒が狂って読み狂人になってしまった、ということを言いたいのである。