(町田康さん撮影)【拡大】
常識、良識なんて
じゃあ、なんで突然に心の駒が狂ってしまったのか。
実ははっきりしている。中学1年の時に筒井康隆の小説を読んでしまったからである。
それまで読み狂人は、世の中には常識、良識というものがあり、自分がそれをわからぬのは自分が未だ幼稚であり未熟であるからでいずれ大人になれば、そうしたものを会得して天下国家のために役に立つ人間になることができる、と信じていた。
ところが、筒井康隆の小説を読んで、そんなものはクソだと思うようになった。それから後は一瀉千里、いろんなことがあったが、あれよあれよ、という間に読み狂人に成り果ててしまった。