まず訪れたのは富岡町。バスの中で、今回の企画のために町役場で作成してくれた町の歴史と現在の状況についての冊子が配られ、説明を受ける。一人一人に放射線量計が渡され、学生らにも原発事故の被災地に入るという心構えができたようだ。
バスの車窓から、大量の黒い袋が見えた。行き場のない除染廃棄物が入った袋だ。テレビではない、実際の風景に学部生の多くは言葉を失った。
私は震災直後に訪れたあの時と大きく変わらない風景に驚いた。いまだに建物の中に車やポストが放置されたまま。3年半という時間について考えさせられた。
違うのは放射線量だけ
「帰宅困難地域」との境界のバリケードまで来た。帰宅困難地域とは除染の手が一切入っていない地域であり、道路も一切直っていないという。しかし、バリケードの向こうとこちら側で見える景色に大きな違いはなかった。あるのは放射線量の違いだけ。そのことを理解してもらうため、大学生にバリケード付近と少し離れた場所で放射線を測定してもらった。
午後3時になると、「帰宅時間となりました。作業を中断し帰宅しましょう」という町内放送が流れた。今いる場所が、どういう場所なのかを改めて感じさせられた。