米紙ワシントン・ポストの元編集主幹で、1974年にリチャード・ニクソン大統領(13~94年)を辞任に追い込んだウォーターゲート事件報道を指揮したベン・ブラッドリー氏が21日、ワシントンの自宅で老衰のため死去した。93歳だった。ポスト紙(電子版)は社説を掲載し「彼の魅力と天性の指導力が才能豊かなスタッフらを集め、その時代に最も名高い新聞編集になった」と、その死を悼んだ。一地方紙にすぎなかったポスト紙を米国の最有力紙の一つに育て上げた。事件の「ディープスロート」(情報源)を知っていたのは、スクープ記事を書いた記者2人とブラッドリー氏の3人だけだったとされている。
政権と対峙し続け
「彼の下で記者たちは語るべき事柄を語り、世界を理解する手助けをしてくれた」。バラク・オバマ米大統領(53)は21日、声明を出し、功績をたたえた。
ブラッドリー氏は1921年に東部ボストンで生まれた。ハーバード大学を卒業後、ニューズウィーク誌などを経て65年にポスト紙の編集局長に就任。68年から23年間、編集主幹としてポスト紙を率いた。