華道(生け花)とは、いらない枝葉をあえて落として、人の手で整えられたその一枝に究極の自然を見る…というような重要なエッセンスをすくい取り表現する世界です。
日本人にとって、禅、わびさびといった価値観は、何も特別なものではなく、宗教などを意識しない人々にもごく普通に日常に浸透している価値観といえるでしょう。
また日本以外に目を向けても、シンプルな美しさはいつの時代にも普遍的な美的感覚として存在していました。そしてそれを意識的に取り入れようとする考え方は、実は古代ギリシャの時代にもあったのです。無駄を生活の中から排除するミニマリズムを追求していたソクラテスは、あるとき水を手ですくって飲めることに気づいて、唯一の家財道具だった茶碗を割ってしまった…というエピソードがあるそうです。