本作(独仏合作、クリストフ・ガンズ監督)は、ベルの父親の運命に焦点を当てたジャン・コクトー監督(1889~1963年)の実写版「美女と野獣」(1946年、J・L・ド・ボーモン原作)とは一線を画し、ベルが大人へと成長していく姿の描写に力が注がれている。セドゥは子供の鑑賞者を念頭に「ベルが運命の犠牲者ではなく、強い意志を持って恐怖と闘うことができる女性だということを常に意識して、撮影に臨みました。もちろん恐怖の象徴は野獣です」と、作品への強い意気込みを語った。
セドゥはベルと野獣に成立した主従関係が次第に変化していくところが面白いという。「ベルは自分の言動が野獣に影響力を持つと発見するわけです。確かフランスの哲学者、ジャック・ラカン(1901~81年)の言葉に『自分が支配できる主人を探せ』とありますが、ベルはまさに実践したわけです」。セドゥ自身は人の心を支配することに長(た)けている方だろうか。水を向けると、「すべての恋愛関係において人間は影響を与え、与えられるものです。それが普遍的な恋愛関係だと思います」とかわし、苦笑いを浮かべた。