何度も足を運んで写真撮影をしたり、座禅を組んだりする中で井浦さんの心をつかんだのは傘亭の存在。内側から見た番傘を開いたような素朴な造形にひかれ、「これまで持っていたお茶室の概念を気持ちよく壊してくれた」という。ちょうどそのころ、取材で訪れた熊本県山鹿市で出合ったのが山鹿傘。日本の手仕事や匠の技を学び伝える活動をライフワークとする中で、粋でありながら力強さを兼ね備えた山鹿傘に魅せられた。
山鹿傘の素材である竹、高台寺の竹林と傘亭…。「すべてが1つになったときに、ライトアップのイメージがひらめいた」と振り返る。さらに、高台寺建立には、初代熊本藩主の加藤清正の尽力があった史実も知り、高台寺と熊本との浅からぬ因縁を改めて感じたという。