東西分断時代に初めてベルリンを旅行したという村上さんは、壁が崩壊したときのことを「ほっとした」と振り返った。しかし、中東の戦火やバルカン半島での戦争、米中枢同時テロで、「幸せな世界への私たちの希望は崩れた」という。
「誰もが想像する力持つ」
壁について、村上さんは人々や異なる価値観を隔てる「象徴」と位置づけ、「私たちを守ることもあるが、守るためには他者を排除しなければならない」とし、ベルリンの壁は「その典型だった」と語った。
世界にはなお多くの壁が存在するとする一方で、「小説を書くとき、現実と非現実、意識と無意識を分ける壁を抜ける」「人がフィクションを読んで深く感動し興奮するとき、作者と一緒にその壁を突破したといえる」と語り、今後もそうした“物語”を書き続けたいと意欲を示した。