ピンク・フロイドの『永遠(TOWA)』は、恐らく再び音楽史の事件になるに違いない。先行音源を聴くと、その研ぎ澄まされた生演奏の輝きは、今まで全く聴いたことのないクールな手ざわりに満ちていた。ジャケットの通り、人間が超時空に立たなければ体験することができないような景観を見せてくれる。
何よりも、ピンク・フロイドの従来のイメージ、特に30センチLPの時代、『おせっかい』のB面いっぱいを使った曲「エコーズ」などをほうふつとさせながら、40年の時間の経過をしっかりと進化につなげていると感じさせるところには脱帽する。
メンバーのニック・メイソンは語る。
「このアルバムは2008年に亡くなったメンバーのリック・ライトへのトリビュートなんだ。このアルバムは、ピンク・フロイド・サウンドの中心で彼がやっていたことや、彼の演奏の多くを確認するいい手段だと思う。セッションを聞き返していると、彼がいかにスペシャルなプレーヤーだったかを痛感したよ」
トリビュートといえばノスタルジックな印象も受けるが、新曲から受ける手応えは、新しい冒険であり、テクノロジーなのである。ニックはさらに補足する。