「最後のセッション」の魔法
デヴィッド・ギルモアも語る。
「これは、僕とニックとリックの3人がテムズ川に浮かぶハウスボートの“アストリア”(デヴィッド・ギルモア所有のスタジオ)で行った最後のセッションからのものなんだ。リックの独特のキーボードを聴くと、“自分の手にしているものは、失ってしまうまで分からない”ということを、今気づかせてくれる。ポリー・サムソンは、僕たち3人が作る音楽には何かしら言葉で言い表せない魔法のようなものがあるということを表現するために歌詞をつけた。言葉よりも訴えかけてくる、いってみれば“音楽の魔法”の瞬間のようなものを象徴しているんだ」
音楽の魔法は誰にでもいや応なく感じられるはず。そのテンションは、メンバーの死によってもたらされていることがポイントだ。なんともいえない悲しみのようなトーンも感じる。だがそれに負けない生への意志も感じられるのだ。
プロデュースは、デヴィッド・ギルモアの他に、ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラや、ポール・マッカートニーとのユニット、ザ・ファイアーマンで有名なユースらが手がけ、神秘性を増したアートワークのディレクターには、ピンク・フロイドではおなじみのヒプノシスからオーブリー・パウエルが担当。バックアップも完璧である。