というのも初回報告時期の約束を破った交渉相手、宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使に散々手を焼いてきたからだ。宋氏は9月上旬、金丸信元自民党副総裁の長男、康信氏と会談し、共同通信の取材にも応じて交渉に対する真摯(しんし)な姿勢を猛アピール。9月末の日朝協議に臨んだ中国・瀋陽では日本人記者を集め意見交換会まで開催し宣伝工作を大展開した。
日朝関係者によると、宋氏は意見交換会の席上、政府認定拉致被害者について解決済みとの認識を示し、安倍首相の出身大学を挙げたうえで学歴をからかった。瀋陽の日朝協議でも1時間近く日本の対応を批判。日本は「交渉というよりは演説だ」(日朝関係者)と閉口したほどだ。こうした言動に官邸サイドは怒りを爆発させた。政府は宋氏との交渉について「意味がない」(高官)として打ち切る構えだ。
また、韓国紙・東亜日報が7日、拉致被害者の横田めぐみさんが1994年に薬物過剰投与で死亡したと報道。安倍首相は「信憑(しんぴょう)性はない」と否定したが、北朝鮮や、拉致問題解決に反対する勢力が日本政府に不満を募らせ、今後も死亡情報を流布する可能性がある。
実は韓国政府は北朝鮮の核、ミサイル問題対応を優先する姿勢で、日本の拉致事件解決に向けた協力には及び腰だ。政府関係者は「拉致情報収集には韓国の協力が必要だが、思うように進んでいない。韓国政府によるプロパガンダ工作にも警戒する必要が出てきた」と明かす。