台北までは通常価格で片道7000円から、キャンペーン価格なら5000円以下で入手できるとあって、学生や若いOLのグループが多い。機内食などの無料サービスはないが、常連客は「運賃に最初から食事代が含まれてしまっている大手と違い、“ほしい人だけ有料でどうぞ”というやり方は理にかなっている」とLCC流に賛同。そこで出費を抑えたぶん、現地でぜいたくに-というのが彼らの旅のスタイルのようだ。
台北・桃園国際空港には定刻の午前10時35分(現地時間)に到着。市内へ移動して路線バスに乗り換えた私たちは、宮崎駿(みやざきはやお)監督の大ヒット長編アニメ映画『千と千尋の神隠し』のモデルにもなったといわれる台湾北部の山間の街・九●(=にんべんに分、きゅうふん)へ向かった。
≪古き良き九ふんの夕景 1泊し堪能≫
九ふんは19世紀末に金鉱が発見され、ゴールドラッシュに沸いた街だ。金鉱が閉鎖されてからは「小香港」と呼ばれた当時のにぎわいは失われたものの、1989年にここを舞台にした映画『非情城市(ひじょうじょうし)』(侯孝賢監督)が上映されると再び脚光を浴び、台湾でも有数の観光名所に。太平洋を見下ろす山の斜面にへばりつくようにして広がるノスタルジックな街並みは、宮崎駿監督の大ヒット長編アニメ映画『千と千尋の神隠し』のモデルではないかともいわれる。