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【野口裕之の軍事情勢】米モンロー主義に学ぶ中国 野望が透ける「棍棒外交」 (3/5ページ)

2014.11.24 06:00

 際限ない「戦略的国境」

 実際(1)に関連するが、習氏は国家主席就任前から、米国はアジアの諸問題対処に当たり、まず中国と協議せよと求める《新型大国関係》を提案している。米国と日韓など同盟国との間にくさびを打ち込む誘い水だ。(2)に関しても、そもそも米モンロー主義は欧州への不干渉姿勢を維持する一方、逆に南北米大陸より欧露列強を除き、北米や裏庭=中南米に過剰介入すれば敵対行為とみなす、戦いも辞さぬ決意表明と換言できる。

 モンロー主義は敵対行為に敏感とはいえ、中国の反応は過剰にして正常ではない。例えば、外国軍艦艇・航空機による自国EEZ(排他的経済水域)内での軍事的監視活動を拒絶する。国際法上の少数意見というだけでなく、国際法上の《航行・上空飛行の自由》原則を否定する「縄張り宣言」だ。ところが、自らは他国のEEZはじめ領域や係争海域にさえ侵入・占領を平然としてのける。

 モンロー主義は、実力や必要がない場合に「不干渉」を強要。実力や必要に応じて、棍棒外交を開始し激化させ、やがて勢力圏の盟主に就く。烈度を比較的低く抑えているつもりでいる中国の棍棒外交は、必ずエスカレートする。世界の海洋の3分の1を占めるEEZ。国際法に逆らう中国の《法律戦》を放置すれば、「欲しい所が領域」と考える地政学上の理屈《戦略的国境》は際限なく膨らむ。

限界が有るシナリオ

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