18日の中露国防相会談にも、イヤな前兆を観た。両国防相は、アジア太平洋地域における米国の軍事・政治面での影響拡大を牽制し、地域集団安全保障体制構築で一致。しかも来春、地域ばかりか地中海での演習実施も合意した。地中海はクリミア問題を抱えるロシアとのお付き合いにせよ、太平洋~東シナ海~南シナ海~インド洋の広い地域・海域で武威を高め、経済・エネルギー覇権を狙う、中国の野望が透ける。
限界が有るシナリオ
だのに、ASEAN諸国やインドの危機意識は濃淡を繰り返す。ASEANが17日に発表した東アジアサミットの議長声明は、予想通りとはいえ失望した。中国の海洋侵出を念頭に「海洋の平和と安全が脅かし続けられている」との、東アジアサミットでも海洋安全保障を扱うべしとする従来案が撤回され「平和的解決が重要」と格段に薄められた。これも、米国などサミット参加強国の関与を嫌う中国の工作。ASEAN各国は経済・金融支援で中国に一本釣りされ、警戒感は持ちながらも切り崩されている。