【かざすンAR(視聴無料)】映画「幸せのありか」(マチェイ・ピェブシツア監督)。12月13日公開(アルシネテラン)。(C)Trmway_Sp.z.o.o_Instytucja_Filmowa“Silesia_Film”,TVP_S.A,Monternia.PL_2013【拡大】
現実に悔し涙
で、いざクランクインです。忘れられないワンシーンがあります。脳性まひを抱えた役のわたしが、初めて彼女ができて新宿をデートするシーン。撮影時期は年末の忘年会シーズンでした。酔っ払いであふれた歌舞伎町で、監督は隠し撮りをすると言う。嫌な予感はしましたが、監督に言われたら従うしかありませんからね。
で、「よーいスタート」です。わたしは歩行器を抱えながら、彼女と歌舞伎町の大繁華街を歩く。すると、酔っ払いのサラリーマンさんでした。わたしに向かってなんて言ったと思いますか?
「おい、しっかり歩けよ!」
自然と、悔しくて悔しくて、涙があふれ出ました。そのサラリーマンの方を今さらとやかく言うつもりはありません。ただ、なにが悔しかったって…「これが現実なんだ」ってことですかね。
そんな経験をさせていただいたからこそ、わたしはね、この手の作品を見て安易に泣きたくはないんです。でも、もれなく泣いちゃいましたよ。だって、「障害」というモノを利用したお涙ちょうだい映画ではなかったですから。そんなんだったら、それこそ普通にボロカスに書いてたと思いますしね。