11月28日、「スカラ座」の記者会見場に姿を現したダニエル・バレンボイム氏。音楽監督からの退任を発表するとともに、中東和平に向けて音楽が持つ可能性を熱っぽく説いた=2014年、イタリア・ミラノ(AP)【拡大】
16年に音楽学校に入る1期生は、奨学生として選ばれた中東出身の音楽家たちで、3年間、バレンボイム氏らの薫陶を受けて学ぶ機会を与えられる。ドイツ政府もこのプロジェクトを「中東和平のためにドイツとして貢献できる」と評価し、音楽学校の建設費用3400万ユーロ(約50億円)のうち、2000万ユーロを出資。今後も財政的に援助していくとしている。
今月9日には、「ベルリンの壁」崩壊25年を記念してブランデンブルグ門前で行われた記念コンサートで、1989年当時と同様にベートーベンの第九交響曲の「歓喜の歌」の指揮をとったバレンボイム氏。「敵とみなしている者同士を、学びの場でまずは人間として向き合わせる。音楽が持つ『共存の懸け橋』としての可能性に賭けてみたい」とも言い切った。(SANKEI EXPRESS)