フランク・ロイド・ライトの設計の一番の特徴は、自然と調和したプレイリー・スタイル。深い庇(ひさし)や低い屋根で水平性を強調、屋内は壁を解き放ち、開放的な空間を演出している。その初期の代表作が銀行家、アーサー・B・ヒュートレイ邸宅で、1902年に竣工(しゅんこう)した=2014年10月14日、米イリノイ州シカゴ郊外のオークパーク(緑川真実さん撮影)【拡大】
イリノイ州の玄関口シカゴ郊外、約20キロの地にある高級住宅街オークパークは、米国を代表する2人の文化人ゆかりの地としても知られる。日本では帝国ホテル旧本館の設計者として知られる建築家、フランク・ロイド・ライト(1867~1959年)と、小説「老人と海」などで知られるノーベル賞作家、アーネスト・ヘミングウェー(1899~1961年)だ。
オークパークは、ウィスコンシン州出身のライトが1889年に結婚して移り住み、独立して事務所を構えて壮年期を過ごした場所。ライトの一番の特徴は、自然と調和したプレイリー・スタイル(大草原に建つ家)で、オークパークには設計を手がけた約30軒ほどの邸宅が立ち並ぶ。訪ねた10月中旬は紅葉が始まった時期で、小雨の霧けぶる中で静かなたたずまいを見せていた。
邸宅の多くは一般市民が住んでおり非公開だが、旧ライト邸と事務所は見学できる。屋内では、日本文化を好んだライトの趣味をうかがわせるデザインが多数みられるほか、1905年に日本に渡航した際のパスポートも展示されている。