東洋医学で治療方針を決めることを「治則」という。その治則の第一原則は「治病求本」。表の症状である「標」にとらわれるのではなく、根本的な病因である「本」の治療こそが重要という意味で、本が治れば標も自然に治るとされる。
デフレからの脱却を最優先としたアベノミクスの金融政策は「急なれば標を治す」というもう一つの治則原則に基づく対症療法という言い分もあろうが、症状が落ち着いたらすぐに本治に移るのが基本である。
では現状の本とはなんだろう。維新の党は「金融緩和のみに頼っても国民の生活を守れない」と徹底した規制改革を主張するが、根っこの本は国中に蔓延(まんえん)している「弱気」ではないか。
せっかくの総選挙なのだから、アベノミクスの成長戦略の調合法も含め、国民が元気になる具体的治療法を本気で論じてほしい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)