空が広く、青い。大通りでは犬が何匹も自由気ままにじゃれ合っている。表情を見ていると、怖さはまったく感じない。向こうから寄って来ることはないが、こちらが歩み寄り頭をなでると愛嬌(あいきょう)たっぷりに尻尾を振って応えてくれる。
街や気候、ここに住む人だけでなく、動物までが穏やかな雰囲気をまとっていた。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから南へ約3000キロ。森や湖に囲まれたエル・カラファテは、南部パタゴニアの氷河探索の拠点となる街だ。
人口約4000人とこぢんまりとしており、治安が良い。レストランや雑貨店、ロッジ風の建物が並ぶリベルダドール大通りは夜がふけてもたくさんの観光客が行き交い、安心して散歩できそうだ。
南半球の春にあたる10月中旬。日が昇ったばかりの早朝に目を覚まし、世界中の旅人を魅惑するロス・グラシアレス国立公園の巨大な氷河に足を運んだ。