すでに来季に向けた自主トレを始めている上原浩治投手=東京都内(田中充撮影)【拡大】
失敗繰り返すことも
自分の中では、20歳も40歳も関係ない。メディアや周囲は数字を強調するが、年齢で野球をするわけではないからだ。
いろいろな経験をしてきたし、踏んできた場数は年齢を重ねるのに比例して増える。それが、マウンドでの引き出しになる。投げているとき、特にピンチの場面になると、過去の同じようなシーンが記憶によみがえる。そのときの抑えた経験や、打たれた教訓が生きてくる。
格好良いことばかり言ってみたが、同じ失敗をいまだに繰り返すことがある。「打たれ出すと止まらない」。マウンドで、冷静になれていない自分が今季もいた。シーズン終盤は打ち込まれた場面も多かった。「まだまだ未熟者やな」。この年齢になっても、そんな感情がわき起こる。
振り返れば、長くなったプロ生活。思い返せば、引退の危機もあった。メジャー1年目。09年に右肘を痛めた。オリオールズとは2年契約だった。あのとき、1年契約だったらリリースされて、獲得する球団もなかったと思う。一年、一年のつもりで勝負してきたが、あのときほど複数年契約のありがたみを実感したことはない。