100年超の歴史
ところで、日本のオーケストラ史は100年以上に及ぶことをご存じだろうか。日本の洋楽演奏団体は1871(明治4)年に創設された海軍と陸軍の軍楽隊にさかのぼる。87(明治20)年、東京音楽学校が開校し、学内オーケストラが作られる。明治後半になると、三越や白木屋、いとう呉服店(後の松坂屋百貨店)が少年音楽隊を結成し宣伝などに活用した。
オーケストラ史で忘れてならない人物は山田耕筰と近衛秀麿。「赤とんぼ」などの作曲で知られる山田はベルリン留学から帰国後の1915(大正4)年、東京フィルハーモニー会管弦楽部を組織し、その後、弟子の近衛と日本交響楽協会を作った。内紛で分裂し、近衛は現在のN響につながる新交響楽団を結成する。山田は「日本の交響楽運動の父」と称され、近衛は団員から「親方」と呼ばれ慕われた。