ランニングブームが止まらない。ブームが起きたのは今から10年ほど前だが、廃れるどころか盛り上がり続けている。多くの趣味の中でも、過酷な部類に入るのに、猫もしゃくしも額に汗をにじませ走っている。常に強烈な疲労を全身に感じ、汗をだらだらと垂らし、白目をむき、歯を食いしばって、それでもみんな走り続けている。それでも何十万というランナーが、毎週末、全国の大会で汗を流している。
なぜ、そこまでしてみんな走るのか。この謎は、実際に走ってみるまで絶対に分からない。ところが一回走ってしまったら最後、多くの人がやみつきになる。やみつきの根源は、走り終わったときの「もう走らなくていいんだ」という解放感、それに尽きる。運動が苦手な人でもあの解放感を味わったら最後、「お、お願い、もう一回だけ…」となる。あの解放感を得るためにまたランニングへと出かけるのだ。