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【「日本の食」未来へつなぐ】(8-2) 石臼で挽く山椒 「体の中まで浄化」 (2/2ページ)

2015.1.1 00:30

種を取った山椒(さんしょう)の実から丁寧に枝をより分ける「かねいち」の辻了(さとる)さん。小さな枝が爪の間に入って痛いが、この一手間が鮮烈な色と香りを生み出すのだ=2014年2月11日、和歌山県海南市(塩塚夢撮影)

種を取った山椒(さんしょう)の実から丁寧に枝をより分ける「かねいち」の辻了(さとる)さん。小さな枝が爪の間に入って痛いが、この一手間が鮮烈な色と香りを生み出すのだ=2014年2月11日、和歌山県海南市(塩塚夢撮影)【拡大】

  • 粗すぎず、細かすぎず。山椒(さんしょう)の量や石臼を回す速さで絶妙なバランスに調整する=2014年2月11日、和歌山県海南市(塩塚夢撮影)
  • 山椒(さんしょう)のイメージを覆すほどの鮮烈な香り。「ええ匂いでしょ、たまらん」と辻了(さとる)さん=2014年2月11日、和歌山県海南市(塩塚夢撮影)
  • 高野山へと続く街道沿いにたたずむ「かねいち」。木造の建物が歴史を感じさせる=2014年2月11日、和歌山県海南市(塩塚夢撮影)

 「決めては、この山椒のすごさですね。誰かが継がないと、なくなってしまうわけですから」。当時は原料の卸が中心で、粉に加工した山椒は地元で消費するだけだった。「地元だけでは消費量も限られている。外に発信しなければ生き残っていけない」

 書道の腕前をいかして、手書きのはがきとともに全国約2000店の鰻料理店などに小分けのサンプルを発送。認知度が徐々に高まり、「リピーターも定着して、ここ2、3年はいろんなところで『山椒って、こんなにすごいんだ』と思ってもらえるようになってきた。収入も個人商店としては十分なほど」という。

 石臼を回すのは、辻了(さとる)さん(70)。山椒を乾燥させ、種と枝を手でよりわけ、石臼で挽く。「小さい枝が爪の間に入って痛いんですわ。でも、こうやって丁寧により分ければ、ええ色と匂いになるねん」

 「肩も腰もパンパンになる」と話す通り根気のいる作業だが、15歳でかねいちに入って以来、55年間山椒に向かい続けてきた。「自分が挽いた山椒を人にあげたら、『この山椒、めっちゃええわ。辻さんってすごいなあ』って言ってくれる。それがうれしいんですな」(取材・構成:塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS

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