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【逍遥の児】安政元年創業の染め物店 (1/2ページ)

2015.1.6 16:00

 徳川家康はタカ狩りを好んだ。江戸から猟場の東金(房総半島東部)に行く途中の船橋に宿所を築造した。宿所は「船橋御殿」と呼ばれた。

 師走の午後。明るい冬の陽光。JR船橋駅から飲食街を抜ける。静かな住宅地。狭い路地。迷路のようだ。ゆるゆると歩いていく。ようやく船橋御殿の跡地を見つけた。豪壮な屋敷はすでにない。小さな東照宮が建つだけだ。

 さらに進む。めざす染め物店「つるや伊藤」に着いた。風情のある店構え。「創業安政元年」と染め抜いたのれんが誇らしげに掲げられている。幕末の1854年から営業を始め、日本橋の問屋などに染め物を出荷してきた。

 5代目当主の伊藤吉之助さん(71)と会った。背筋をしゃんと伸ばし、かくしゃくとしている。

 「はい。江戸時代からずっとこの地を動かず、店を続けております」

 その伝統もあってか、古くから船橋に住んでいるお年寄りは、今でも「御殿のつるや」と呼ぶそうだ。

 店には昭和40年代初頭まで工房があった。敷地内の土中に10個ほど瓶が埋まっていた。染料が入っており、職人たちが毎日、かき混ぜていたそうだ。現在は外注している。

「(外国産は)底が浅い。私たちは、日本の伝統、染め物文化をしっかり守っていきます」

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