今年の正月はPRINCEの新作『ART OFFICIAL AGE』と今話題のFKA twigsの『LP1』、それとひいきにしているTHE FLAMING LIPSがTHE BEATLESの『SGT.PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND』を仲間たちとサイケデリックにカバーしたアルバムを持ち込んだ。幸いどれも喜ばれたのだが、3番目のサイケは奇抜が過ぎるので、運転もサイケに奇抜となっちゃあいけないと冷や冷やしている。
PRINCEの新譜は、もともとこれまで聴いてこなかった私にも楽しく、遊び心も満載で、間の抜けたようなビーム光線のような音も、作り手の信念が、間抜けさえも格好良くする力があるのだなあと感心。自動車の運転も、他者を信用するとかしないとかそういったへ理屈ではなく、移動の道具なのである、と真っすぐ信じ込めれば、私のようにビクビク御託を並べずに気持ちよく町内を走り回れるのであろう。それはそれで、ひどく羨(うらや)ましかったりもする厄介者である。(演出家 長塚圭史、写真も/SANKEI EXPRESS)
■ながつか・けいし 1975年5月9日、東京生まれ。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を結成。ロンドン留学を経て、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を立ち上げた。演出を手がける、CREATIO ATELIER THEATRICAL act.01『蛙昇天』が2月16日~3月1日、せんだい演劇工房10-BOX box-1にて上演。