オーストラリア北部の町、ダーウィンの東約240キロにあるカカドゥ国立公園。自然と文化の両面でユネスコの世界遺産に登録される世界的にも希少な「複合遺産」だ。
園内は日本の四国ほどの大きさがあり、主要な観光スポットを巡るだけでもおよそ3日はかかる。湿原と熱帯雨林が広がった大地には2000種類以上の植物と280種類以上の鳥類が生息するまさに「生物の宝庫」だ。
カカドゥ国立公園を語る上で欠かせないのは、オーストラリア先住民のアボリジニの存在。園内の土地のほとんどはアボリジニが所有し、今も約500人のアボリジニが住み、狩猟、採取生活をしている。
園内には約2万年以上前に岩場に描かれたロックアートが鮮明な状態で残され、当時の生活を読み解くことができる。ワラビーや現地の魚「バラマンディ」などの生物や、神話上の人物など数百あるといわれるアボリジニの種族によって描く内容はさまざま。先祖代々から廃れることなく伝承されてきた技術は時代とともに形をかえ、今ではキャンバスなどに描かれるようになった。大地とのつながりを表した作品の数々は独自の世界観を持ち、今もなお世界的に高い評価を受けている。土産物としても人気だ。