【ソーシャル・イノベーションの現場から】
船にも速度制限などのルールがあり、そうした安全航行に必要な情報をまとめたマップが「海図」である。この海図を作るための学問が「水路学(hydrography)」だ。そして、世界の海図や海の測量に関する取り決めなどを行っているのが「国際水路機関(IHO)」である。
海図は、測量船が収集した水深などの情報によって作られる。陸の地図では考えにくいが、測量船や専門家が足りない国の海域では、データがまだデジタル化されていない「空白エリア」どころか、いまだに18世紀のクック船長が測量した情報で海図が作られ、島などの位置が実際より数キロずれている危険な場所もある。
こうした状況を改善するため、日本財団はIHOや日本水路協会、英国水路部(UKHO)などと協力し、主に途上国の海図作製技術者を育成する「NF-IHO CHART事業」を実施している。毎年6人ほどがUKHOで約3カ月学ぶもので、2009年からこれまでに26カ国の36人が修了している。