11対11には無数のドラマが詰まっている。1人がスーパーマンのように最強でも、仲間の力なくして勝てない。1人でも見る方向を間違えば、相手に隙を与えることになり、11人全員のわずか1秒の動きが試合の流れを左右する要素となる。だから勝敗に「絶対」はないのだろう。
実際に選手権では、昨夏の高校総体覇者で優勝候補筆頭だった東福岡が3回戦で敗れ、その東福岡を破った静岡学園も準々決勝で姿を消すなど波乱があった。決勝は20分間の延長戦の末、4-2で星稜が勝利。事故に遭い、指揮が執れなかった河崎護監督の教えである「チームのために動け」を貫いた結果だった。感動した。
サッカー記者としては力不足を痛感する日々だった。一方で高校生の戦いを入り口に、この競技の魅力を学べたことを収穫としたい。反省会を兼ねたお疲れさま会で「サッカーは人生の縮図だと思うんだ。1秒で未来を変えられるのだから」と、先輩記者が話してくれたこの言葉が強く胸に残っている。(青山綾里/SANKEI EXPRESS)