ただ、人命第一に考えるのなら、身代金の支払いも選択肢として考えざるを得ないとの見方もある。国策として身代金の支払いを拒否した米国と英国の人質計5人は、イスラム国によって殺害されたが、フランス、ドイツ、スペインなどの人質十数人が解放されたのは、身代金と引き換えだったとみられている。各国政府は身代金の支払いを否定しているが、米紙ニューヨーク・タイムズは解放された人質などの証言から、支払いが行われたのは確実としている。政府が直接支払うのではなく、「開発援助」などの名目で関係団体を通じて支払われたとみられる。
特殊部隊投入も失敗続き
米国では2001年の米中枢同時テロの後に制定された「愛国者法」により、テロリストや外国のテロ組織への「資源」の提供が禁じられている。身代金はこれに当たると考えられ、支払い要求を受けた家族なども、米政府当局者から法令順守を求められる。だが、最近ではこれに異論も上がっている。