論議を呼んだのは、昨年8月にイスラム国により斬首殺害された米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏=当時(40)=のケースだ。イスラム国から1億3250万ドル(約156億円)の身代金を要求された家族は、寄付を募って身代金に充てようとしたが、米政府から中止を求められた。息子を救いたい一心だった母親はメディアに「テロ組織幇助(ほうじょ)の罪で処罰されると脅され、私たちにできることは何もないと言われた」と悔しさを口にした。フォーリーさん一家への同情論がわき上がり、ニュースサイトには「オバマ大統領だって自分の子供が人質になれば、身代金を支払うに違いない」といった批判が投稿された。
身代金の代わりに米政府が米国人解放のために使っている手段が、特殊部隊による奪還作戦だが、失敗が続いている。
今回、イスラム国側は約235億円もの身代金を要求しているが、米紙によると、昨年解放された外国人15人の1人当たりの身代金は2億~6億円で、平均すると約3億円だという。米国と同調するのが日本政府の国策だが、現実問題としては何らかの条件をのまなければ、人質解放はありえない。
米国と同調しない場合は、タイムリミットが迫る中、身代金の金額をいかに引き下げられるかが問題となる。(SANKEI EXPRESS)