「イスラム国」とみられる集団による日本人2人の殺害警告の一報は、中東歴訪最終日の朝に安倍晋三首相(60)のもとに飛び込んできた。首相は今回の外遊でテロと厳しく対峙する姿勢を示してきたが、イスラム国側はそのタイミングを狙って犯行声明を突きつけてきた格好だ。「積極的平和主義」を掲げる首相は、厳しい対応を迫られている。
「人命を盾に脅迫することは許し難い行為で、強い憤りを覚える」
安倍首相は当初の予定より約1時間遅れで始まったエルサレムでの記者会見でこう述べ、テロに屈しない姿勢を重ねて強調した。
会見前には、イスラム国とみられる集団のビデオ声明の映像を確認し、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)に情報収集の指示を出すなど、自ら陣頭指揮に立つ構えをみせている。
首相がテロとの戦いに一貫して強気の姿勢を示しているのは、今回の中東歴訪で日本政府が各国でおおむね好意的に受け止められていることがある。