カラフルでにぎやかな院内学級「さいかち学級」で赤鼻をノーズオンする担任で、ホスピタルクラウンの副島賢和先生(左)と一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづる=2015年1月15日、東京都品川区(小野寺宏友さん撮影)【拡大】
先生たちにも「サロン」
小児科病棟へのお見舞い活動はつらい。子供たちの寂しさや、涙や、ガマンを痛いほど感じるからだ。隠そうとしていても伝わる。「甘えられる子はいいんだけど、一生懸命に『大丈夫です』という子には、どうにかそれを崩してあげたい」と副島さん。
実は、院内学級に通う期間は平均5日と短い。「5日くらい勉強しなくてもいいじゃないか」と思いがちだが、副島さんは「子供たちには患者でない自分に戻れる場所が必要」と話す。長期入院の子供はなおさらだ。院内先生であり、ホスピタルクラウンの副島さんは、子供たちにとって存在そのものが居場所になっているのだと思う。寄り添おうとしてくれる人がいてこその居場所だ。
そして、居場所が必要なのは、何も院内学級に来る子供たちだけではない。「通常の学校に通う子も同じように傷つき苦しんでいる」と副島さんは思う。だから「子供たちの声を聞いてほしい」と、講演会やワークショップにも奔走する。「だけど難しい。教員自身が苦しんでいることを隠して、頑張っている。失敗を見せられる先生が少ない」と嘆く。