川沿いに作られた家々の多くは、川を挟む小高い丘の中腹に建てられている。そのため坂道が多いのだが、丘を一気に登ることができるロープウエーが完成して、訪れた人々を喜ばせている。ロープウエーを登り切った丘の上には、「グルジアの母」と呼ばれる巨大な像が立つ。右手には剣、左手にはワイングラスを持ち、敵との戦いと友情を象徴しているのだという。
ただ郊外に出れば、ソ連時代の住宅街がやはり目につく。国会議事堂のすぐ近くの国立博物館では、「ソ連による占領時代」と題した展示が行われていた。中には、銃撃された貨車など、革命や粛正の嵐に巻き込まれたトビリシの歴史が紹介されていた。
「クレオパトラの涙」
現在のロシアとの厳しい関係を象徴する場所もあった。トビリシから少し離れたところに、質素なテント状の家が並ぶ地域があった。「南オセチアからの国内避難民です」。ドライバーの男性が教えてくれた。南オセチアとはグルジア国内の自治州だが、ソ連崩壊直後から独立に向けた動きが活発化し、08年8月にロシアとグルジアの戦争後、ロシアが一方的に独立を承認した。その流れのなかで、多くの避難民が発生した。