≪後藤さん シリアでの足取り≫
「イスラム国」に殺害された後藤健二さんは番組制作会社を経て、1996年に映像通信会社「インデペンデント・プレス」を設立。「危険地帯の映像取材は1990年代半ばから手がけていた先駆者だが、戦場の陰で苦境に立つ人々の暮らしに常に目を向ける人だった」。2001年にアフガニスタンのカブールで後藤さんと出会った映像ジャーナリスト、綿井健陽(たけはる)さん(43)はそう評価する。
近年はシリアをたびたび訪問。「民間軍事会社」と称する「ピーエムシー」の最高経営責任者を務めていた湯川遥菜(はるな)さんと昨年4月に出会ったのもシリアだった。紛争地域での取材経験が豊富な後藤さんは、湯川さんにとって頼りになる存在だった。湯川さんは父親の正一さんに「兄貴のようだ」と話していた。