ロックやポップスに比べれば、歌詞の比重が少ないダンスミュージックは国籍は問わない。とはいえ、表舞台に出てくるのは、どうしても英米のアーティストが多いのが現状だ。マーケットの大きさにも比例してくるので、この傾向は当然かもしれない。ドイツのテクノや北欧のエレクトロニカなどが脚光を浴びることもあるが、それ以外はマイナーな存在だ。しかし、そんなシーンにどかんと風穴を開けてくれそうなクリエーターが登場している。今回はそんな2組を紹介したい。
独特のクールな質感
まずはフライト・ファシリティーズ。オーストラリアのシドニーで結成されたヒューゴとジェームズによる2人組のエレクトロニック・ユニット。活動を開始したのは2009年なので、キャリアはそれなりにあるのだが、ようやくファーストアルバム「ダウン・トゥ・アース」が発表された。カイリー・ミノーグとの共演など話題性も十分だが、彼らの本質はクールな質感のサウンドだ。多くのシンガーをフィーチャーしても、ヒップホップ、ハウス、ファンクなど多様なジャンルを組み合わせても、独特のひんやりとした感触は変わらない。ジャケット写真を飾る東京の夜景にも似合っている。踊ってもよし、落ち着いて聴いてもよしの心地いい傑作だ。