島国では、文化が独自に発展しやすい。日本も、もちろんそのひとつだ。われわれ日本人は日頃島国に住んでいることを意識することもあまりないが、沖縄を例に挙げればわかりやすいだろう。言葉も食も芸術も、周りを海に囲まれているだけで、その島特有のものに熟成されていく。音楽だって例外ではない。大陸の地続きの隣国同士よりも、海を隔てた島の方が際立って個性が強い。近年はどこもグローバルの波が押し寄せ、少しずつ均一化されているとはいえ、それでも島から発信される音楽は、他にはない魅力を持っている。
ハワイ音楽の最高峰
なかでも、ハワイはその究極といってもいいだろう。ポリネシア系の先住民と、アメリカンカルチャーの融合によって素晴らしい音楽が何十年も前から生み出され続けている。古来の伝統音楽とコンテンポラリーなポップスが融合した数あるハワイアン音楽のなかでも、現在最高峰といっていいのがケアリイ・レイシェルではないだろうか。1995年にデビューして以来、独学で身に付けたというチャント(詠唱)と、カントリーやAORといったポップスを融合。南国らしい明るさのなかにもスピリチュアルなテイストが込められた歌は、毎年来日公演を行うほど日本でもファンが多い。新作「カワイオカレナ」におけるゆったりとした空気感も、祈りの島の音楽という印象を強く感じさせる。