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【日本遊行-美の逍遥】其の十七(知恩院・京都市) 心身整える除夜の鐘 (2/4ページ)

2015.2.6 10:45

大鐘は高さ3.3メートル、直径約2.8メートル、厚さ約30センチ、重さ約70トンと巨大だ=2014年12月31日、京都市東山区の知恩院(井浦新さん撮影)

大鐘は高さ3.3メートル、直径約2.8メートル、厚さ約30センチ、重さ約70トンと巨大だ=2014年12月31日、京都市東山区の知恩院(井浦新さん撮影)【拡大】

  • 身体の重みと綱の振り子の力を巧みに使い、空中を舞うように鐘を撞く=2014年12月31日、京都市東山区の知恩院(井浦新さん撮影)
  • 撞く瞬間に片手を上げる僧侶の美しい姿。どこに力を入れるか、見せるための体の動きが考えられている=2014年12月31日、京都市東山区の知恩院(井浦新さん撮影)
  • 子綱を持つ16人の僧侶たち。大鐘は「南無阿弥陀仏」の名号と鋳造者の銘を記すのみで、鋳造の来歴や鋳造者の功績を記した銘文は見当たらない。これは後の論難や災いを避けるための霊巖上人の配慮とされている=2015年1月1日、京都市東山区の知恩院(井浦新さん撮影)
  • 京都市東山区・知恩院

 午後10時5分に御堂で法要がスタートし、撞き手が鐘楼へ移動、10時35分から鐘楼でも法要が始まった。

 僧侶たちが「南無阿弥陀仏」の6字だけをひたすら唱え、それが除夜の鐘の終了まで続く。何千回繰り返すのだろう。この日眠りにつくまで、僕の頭のなかは「南無阿弥陀仏」の輪唱が続き、多彩な抑揚のバリエーションまでも耳に焼き付いて離れなかった。

 ≪一つ一つ 大切に打ち鳴らす≫

 午後10時40分、とうとう除夜の鐘が始まった。知恩院の鐘は、親綱1人、子綱16人、合わせて17人の僧侶によって撞かれる。「えーい、ひとーつ」と親綱を握った僧侶が声をかけ、子綱の16人による「そーれ」の掛け声とともに、親綱をもった撞き手があおむけにぶらさがるようにして、体全体を使って大鐘を打ち嗚らすのだ。その迫力に目が離せなくなる。

 大鐘の重低音が嗚り響き、60秒間隔で約2時間、交代で鐘を撞き続けるのだが、僕の体感としてはあっという間のことだった。僧侶たちの撞き方が一人一人個性にあふれ、見ていて飽きない。若い人は力いっぱい撞き、熟練の僧侶はしなやかに力をこめ、まるで飛ぶように軽やかだ。僕もどこから撮るかを一生懸命考えて撮影した。そのうち鐘を衝く僧侶たちに、僕も同調するように息を合わせていた。

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