東京都内の特別養護老人ホームで空いたままのベッド。人手不足で新規入所の受け入れ停止を検討中だ=2015年2月6日(共同)【拡大】
夜勤に急な欠員が出れば、正規職員が休日返上で出勤する。重くなるばかりの負担に、鬱病を患う職員も出てきた。職員の負担を減らそうと悩んだ末、退所者が出てベッドが空いても、新規入所の受け入れ手続きの一時停止を検討している。
空きベッドがあるのに、職員が足りないため受け入れ困難-。特養の待機者は全国で約52万人に上るが、こんな矛盾した事態が起きている。
「机上の空論」
今回の報酬改定で厚生労働省は、職員1人当たり月1万2000円の賃金増となる「処遇改善加算」の拡充を目玉に掲げた。
加算による収入が事業者の運営資金などに回っては、職員の賃上げに結びつかない。そこで厚労省は、賃上げの計画や実績の報告を事業者に義務付けた。加算を獲得するには(1)賃金体系の整備(2)研修の実施(3)正規職員への転換などに取り組む-の条件を課し、処遇改善を確実にしたい考えだ。
だが、利用者減少などで収入が落ち込んだ場合は、職員給与を下げて加算報酬で穴埋めすることも例外的に容認している。この場合は賃金増が望めないが、厚労省幹部は「条件を厳格化し過ぎると、そもそも加算を受けない事業所も出てくる」と説明する。